【IPO用語解説】シンジケートカバー取引って何?

以前の記事では「【IPO用語解説】オーバーアロットメントって何?」ということで、オーバーアロットメントについて説明しました。

オーバーアロットメントは何となく分かったけど「シンジケートカバー取引」っていう言葉も出てきたんだけど…
シンジケートカバー取引」は株主にとって、どんなメリットがあるの?

ということで、この記事ではIPO投資で出てくる用語の一つであるシンジケートカバー取引について説明します。

 

<この記事を書いている人>
さなじん
さなじん

IPO実務検定上級レベル合格者、IPO企業での新規上場実務経験、上場企業でのIR・経理・経営企画、そしてIPO株経験のある「さなじん」が書いています。

 

シンジケートカバー取引とは?

では早速、IPO(新規上場)におけるシンジケートカバー取引とは何か?簡単にいうと次のような感じです。

シンジケートカバー取引とは、オーバーアロットメントが実施された場合に、大株主から借りた株式を返すため、主幹事証券会社が市場から株式を買い付けること

  

シンジケートカバー取引はどんな時に行われる?

シンジケートカバー取引が必要な理由

IPO(新規上場)の流れについては「IPO株はどうやったら買える?」という記事で、STEPで解説しているのでご覧ください。

 

また、オーバーアロットメントについては「【IPO用語解説】オーバーアロットメントって何?」という記事でも解説していますが、

ブックビルディング後に行われる株式の追加売出しで、主幹事証券会社会社の社長(または大株主)から一時的に株式を借りる

というものでした。

 

当然ながら、新規上場する会社の社長さんから借りた株式は、その社長さんに返さなければなりません

借りた株式を返す方法の一つとして、シンジケートカバー取引があるのです。

 

シンジケートカバー取引はいつ行われるか?

このシンジケートカバー取引ですが、主幹事証券会社が市場から株式の買い付けを実施できる期間が決まっています。

その期間は、正確に言うと「募集又は売出しの申込期間が終了する日の翌日から最長30日間」となりますが、IPOの場合はざっくり言うと

上場日当日から30日ぐらい

となります。実際は30日より少し短いです。

 

シンジケートカバー取引はどのような場合に行われるか?

シンジケートカバー取引はどのような場合に行われるかを簡単に言うと、IPO株が上場した後、株価が次のようになった場合に行われます。

公募価格 > 株価

たとえば、公募価格(IPO株の抽選に当選した人が払い込む金額)が1,000円だったとして、上場後の株価(初値もありうる)が900円になったとすると、シンジケートカバー取引が行われます。

 

シンジケートカバー取引の内容確認方法

追加売出し(オーバーアロットメント)とセットでシンジケートカバー取引は行われますので、その内容は【IPO用語解説】オーバーアロットメントって何?にも書いるように、目論見書(の第2回訂正分まで)を読んでいただくと、詳しく記載してあります。

ただし、目論見書は読みにくいと思いますので、取引所の新規上場会社情報(東証のページはこちら)に会社概要とともにオーバーアロットメントについて載っています。

オーバーアロットメントのところに書いてある株数が、シンジケートカバー取引のときに買い付けされる最大株数の目安にはなると思います。

 

シンジケートカバー取引の効果は?

なぜシンジケートカバー取引が行われるのか

では、なぜ株価が公募価格を下回るとシンジケートカバー取引が行われるかについて説明します。

主幹事証券は上場前に投資家さんに「新規上場する会社の株式を買ってください!」とお願いして株式を買ってもらっているわけです。

その株式が上場直後に公募価格、つまり株式を買った人が払った金額よりも株価が下回るなんてことになると、証券会社は株式を買った人(や既存の大株主)から何を言われるか分かりません。

上場してから時間が経った株式ならまだしも、主幹事証券が大きく関与して決定した公募価格を、新規上場直後に株価が下回るなんてことは、株主にとってはあってはならないことで(そうなってしまう場合もありますが…)、証券会社の営業さんへの信頼が失われてしまいます。

だから、主幹事証券会社はシンジケートカバー取引を行い、株式市場から株式を買うことで株価の下支えを行うのです。

 

シンジケートカバー取引の効果は?

シンジケートカバー取引には、市場から買い付ける株式数の上限があります。

募集・売出し株数の15%が買付上限数

シンジケートカバー取引が行われると、上場後に市場で流通している株式の最大15%が、実質的に市場から引き揚げられることになりますので、多少なりとも株価の下支え効果株価の安定効果は見込まれます。

ただし、上場直後にシンジケートカバー取引が行われるということは、(市況にも左右されますが)その株式の人気がなく、値下げ圧力がかかっているとも言えますので、焼け石に水となることも…

 

シンジケートカバー取引の結果はどこで確認できる?

シンジケートカバー取引が行われた場合、その結果も取引所のサイトで公開されております。

東京証券取引所の場合、「シンジケートカバー取引等完了報告書」というページに載っていますので、興味ある方はご確認ください。

 

なお、コロナウイルスの影響で市況が悪化していた2020年2月~3月の報告書を見てみると、新規上場日にシンジケートカバー取引を実施し、1日で買い付け上限に達してしまっている会社もあります。

 

さいごに…

ということで、今回はIPOにおけるシンジケートカバー取引についての説明でした。

なお、オーバーアロットメントにより大株主から借りた株式を返すもう一つの方法グリーンシューオプションについては別の記事でご紹介したいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

注意
・本記事は情報の提供を目的としており、金融商品の勧誘を目的とするものではありません。
・IPO株の購入等に際しては、対象企業の目論見書等をご確認の上、ご自身の判断でお願いします。

 

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